このたびは、〈部屋〉は[閉ざされている]にご参加いただきありがとうございました。公演の解説とおまけ(あとがき…?)をお届けします。裏話などがお好きな方はぜひ。

解説

この公演の軸となるシステムは「ルール」でした。背景つきの文字が「〇は△」というように並んでいるとそれはルールとして有効になり、部屋内のあらゆるものを制御することができます。

ルールは単語が書かれたキューブを並べて作ることができ、プレイヤーがルール更新用のベルを押して【ゲームは進行中】を発動させるとゲームが始まりました。

部屋を見渡すと【チラシは剥がせる】というルールが目に入ります。注意事項で「基本的に貼ってあるものは剥がせない」と言われましたが、ルールで剥がせると言っているので大丈夫でしょう。壁に貼られていたあやしげなチラシを剥がすと、下に「箱Aを開け」という指示が書いてありました。

箱Aはチラシの近くに設置してありましたが、南京錠がかかっていて開けられません。そしてその鍵は、部屋の反対側にひもで繋がれていました。ひもは短く、このままでは鍵に届きません。ここでルールの出番です。【ひもは長い】を作ると、ひもは長くなります。

無事箱Aに届いた鍵で箱Aを開けると、次は「ファイルの中にあるキーワードを司会に伝えろ」という指示が出てきました。部屋にある黒いファイルを見ると、今度は4桁のナンバーロックがかけられています。これを開ければ、中のキーワードが見られそうです。ファイルのそばにあったキューブを使って【ファイルは0000で開く】を作り、ベルを鳴らすと...

矛盾警告1回目

警告画面が出ました。

「【ファイルは0000で開く】と【ファイルは0000で開かない】が矛盾しています」のメッセージ通り、矛盾するルールを同時に作ってしまうと警告が出て、解消するまでは画面が切り替わってしまいゲームを進めることができなくなってしまいます。

矛盾を解消して、別のルールでキーワードを手に入れましょう。【ファイルは透明】を作ると、ファイルを開けずとも中のキーワードを見て司会に伝えることができました。

キーワードを司会に伝えると、モニターの表示が次のようなものになります。

ワンタイムパスワード画面

どうやら次に進むにはパスワードが必要なようです。ランダムな6桁の数字を運で的中させることができる確率は0.0001%しかなく、1回ごとに数字が変わるため総当たりや推測も不可能です。

この事態を解決できるルールは何があるでしょうか。直接「運がいい」のような言葉が書かれたキューブは見当たりません。しかし、このゲーム中に、「運の良さ」に関するものをプレイヤーは既に目にしているはずです。

チラシ(再掲)

ゲームの初めに剥がしたチラシには、「へびつかい座生まれの人はものすごく運がいい」という内容が書かれていました。部屋にへびつかい座生まれの人がいれば、周りの人もそのバフを受けて0.0001%の奇跡でパスワードを当てることができそうです。人物を指定できるキューブのワードが「司会」のみなので、【司会はへびつかい座生まれ】を作りましょう。ルールを更新してからパスワードを入力すると、なんと一発で的中させることができます。

ロックが解除されると、モニターには画像が表示されました。謎を全て解くと次の箱が開くようです。

問題画像 1-1

ですが、たぬきがいてほしいところに、なぜかきつねがいます。実は、先ほど【司会はへびつかい座生まれ】を作った真裏に【たぬきはきつね】というルールができていました。このように、ルールはものを別のものに変えてしまうこともできます。【きつねはたぬき】を作って謎を元にもどし、「かき」と答えると次の問題が出ます。

問題画像 2-1

「しきし」「いろがみ」と2通りに読んで解く謎に見えますが、例示が違います。墓のイラストを石のイラストに変えれば良さそうなので、【墓は石】を作りましょう。答えは「餓死」になるはずです…。しかしベルを鳴らすとモニターには警告画面が表示されました。裏に【墓は小麦粉】が出来ていたため矛盾が起きたようです。別の解き方を探すと、【色紙は花弁】で「びん」というまともな答えを導くことができました。

問題画像 3-1

普通に文字を当てはめてみましょう。電気が点いている部屋のイラストなので、右の方にあるスイッチは、「オン」です。答えは「ん」から始まる3文字の言葉…ではなさそうなので、【電気は消えている】を作ります。同時に部屋の電気も消えてしまいましたが、気にせず解答しましょう。

問題画像 3-2

このように当てはめられるので答えは「ふくい」です。

問題画像 4-1

シンプルな迷路ですが、部屋に【♦のエリアは入れない】のルールがあるため答えを出すことができません。このルールはキューブを並べて作ってありますが、♦のエリア内に置かれているため、入って壊すことも不可能でしょう。ここで発想の転換が必要です。入れないのは♦のエリアなので、これを別のエリアに変えてしまえばルールは無力化することができます。【♦のエリアは♠のエリア】を作って迷路をたどり、「パンケーキ」と解答すると箱Bが開きました。

次の目標は箱Cを開けることです。先ほどの謎を解いた時に部屋の中にあった♦のエリアも♠のエリアに変わっているので、入れる場所が増えています。箱Cはガムテープで封をされているので、【ガムテープは剥がせる】で開けましょう。中からカードキーが出てきます。そういえば、箱Dには【箱Dはカードキーを認証すると開く】というルールが貼ってありました。

カードキーを認証するセンサーは、ベルを鳴らす度に司会が持ったり置いたりしているタブレットに付いていました。早速カードキーを乗せて認証開始の合図のベルを鳴らすと、司会がタブレットを持ち上げてカードキーを落としてしまいました。ベルを鳴らすと台本を見るために司会がタブレットを取りに来るので、カードキーを10秒接触させ続けるのは難しそうです。もちろん頼んでも司会は聞き入れません!

しかし、タブレットはプレイヤーが自由に触ることができます。どうにかして、司会の手の届かないところにこれを置いてからベルを鳴らせば良さそうです。司会とプレイヤーのできることはほぼ同じですが、唯一、ルールを変更することができるのはプレイヤーだけという違いがあります。ルールによってタブレットを封じてしまいましょう。タブレットをカードキーが入っていた箱Cに入れ、ガムテープを貼りなおした後【ガムテープは剥がせる】を崩すと、ルールを作り直さない限り開けることはできません。これで10秒待つと無事にカードキー認証が成功します。

認証が完了すると箱Dが開き、中から鍵のかかった箱Eが出てきます。同時にモニターには、「箱Eを開け」という指示と【箱Eは施錠されている】のルールが表示されました。箱Eの中には「クリアされた」と書かれたキューブが入っているのが見え、どうやらこの状況を解決するとクリアは目前のようです。

ファイナル画面

さて、箱Eを開く方法を考えましょう。箱Eにかかっている鍵に鍵穴や数字のダイヤルは無いので、箱Eは物理的に閉められているわけではなく、【箱Eは施錠されている】というルールを消すことができれば開きそうです。このルールはキューブで作られていないので手で壊すことができませんが、モニターに表示されているだけなので、なんらかの方法で表示を切り替えることができれば、消すことが可能です。

そしてその方法は、わざとルールを矛盾させることでした。ゲームを進める中で矛盾が生じるとモニターの表示は警告画面に切り替わっていました。モニターからルールを消してしまえば、箱Eは施錠されていないことになり開けられるはずです。手持ちのキューブから矛盾する2つのルールを探しましょう。これまでに矛盾したことのあるルールはキューブが回収されていたり、いつの間にか片方が消えていたりして再現できません。色々探すと、冒頭に作った【ゲームは進行中】の「は」に書いてある「♦のエリア」を持ってきて【♦のエリアには入れない】と【♦のエリアには入れる】が作れます。【ゲームは進行中】を崩した状態でベルを押してしまうとまずいので、持ってきた後は適当な「は」を当てはめておきましょう。無事矛盾を起こせると警告画面に切り替わると同時に【箱Eは施錠されている】が消え、箱Eが開きます。

中から取り出した「クリアされた」のキューブを【ゲームは進行中】の「進行中」と置き替えてベルを鳴らしましょう。【ゲームはクリアされた】ができて、進行中ではなくなったため、成功という形でゲームは終了します。

ゲームクリア

部屋は閉ざされている

会場には公演ビジュアルのポスターが貼られていて、その中には公演のタイトルがルールの書式で書かれていました。

公演ビジュアル

ルールの一覧表示にも【部屋は閉ざされている】がずっと表示されていました。この部屋はルールによって閉ざされていたのです。解説が終わると、司会が「では、ゲームが終わったので、この部屋の扉を開けておきましょう。」と言ってルールを操作しポスターを別のものに変えて消してしまいます。これで、部屋は開かれました。

【部屋は閉ざされている】というルールが存在することにプレイヤーが気づいてゲーム中にポスターごとルールを消しておくと、「おや、皆さんの手によって既にこの部屋は開かれているみたいですね。ありがとうございます。」というセリフで公演が終わります。

なお、ゲームの目標は「30分以内にクリアすること」なのでどちらの演出で終わっても成功失敗には関係ありません。

おまけ

jake:どうもjakeと申します。この度は〈部屋〉は[閉ざされている]を遊んでいただきありがとうございます。本公演は作人としては珍しく王道寄りに仕上がったんじゃないかと思います。真面目な話はKionがしてると思うので、こっちではちょっとした小ネタの解説をしていきます。

まず、ファイルの中にあったキーワード"マリー・アントワネット"、これは「鍵が開かないなら透明にしてしまえばいいじゃない」ということです。

続いて小謎の迷路の問題、ここには「コペルニクス」や「パラダイムシフト」といった言葉が隠されていました。「コペルニクス的転回」や「パラダイムシフト」は超ざっくり言うと「視点を変えよう」的な意味の言葉です。そして、答えの「パンケーキ」は「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」のパンケーキです。はい。「入れないなら変えてしまえばいいじゃない」ということです。謎解き公演の「実はこうすれば良かったんですよ」てきな、視点を変える話は大体マリー・アントワネットに帰着すると思ってます。

最後に、ファイルの中にあった『ファイルは0000で開かない』というルール、これは色紙に書かれていました。色紙といえば、『色紙は花弁』というルールを作って突破する小謎がありました。そうです、実はこのタイミングでファイルの中の色紙は花弁に変化していました。その証拠にルール一覧のモニターからもこのタイミングで『ファイルは0000で開かない』というルールが消えていました。このルールが消えたということは『ファイルは0000で開く』というルールが作れるということ、実際に作って開けてみるともともと色紙だった花弁と一緒に隠しメッセージが添えられていました。

隠しメッセージ

入れなかったエリアに入れるようになったりなど色々忙しいタイミングで本筋とは全く関係ない行動をしないとこのメッセージは見られないので、ほんの隠し要素としてこのメッセージを入れておきました。気づいた人はやるやん。他にも話したい制作裏話はたくさんありますが、長くなりすぎてしまったのでこの辺にしときます。またどこかでお会いしましょう。

Kion:Kionです。たいていの公演はネタバレ禁止なので難しいことが多いですが、制作者だって感想戦がしたい!という気持ちであとがきの欄を作ったらjakeが好き勝手喋りまくっています。先に書く人が脇道の話をする担当でいいのか?

へやとざの深夜テンションの成分はだいたい出尽くしたと思うので順当なあとがきを書こうと思います。告知の段階で気づいた方も結構いると思うのですが、この公演のシステムはパズルゲーム『Baba Is You』にヒントを得て作りました。当初はオマージュという形にしようかなとも思ったのですが、制作しているうちにパズルというより普通に謎解き公演になっていったのでミスマッチが起きてもなと思い普通に出しています。ちなみにBaba Is Youは一切ヒントを見ないつもりで遊んでいるので全然終わりが見えません。

制作中一番苦労したのはぶっちぎりでカードキーのあたりです。一度作ったルールをあえて壊して逆利用、という要素が使いたかったのですが、スマートな理由が思いつかず話の通じない司会が誕生しています。そしてバグは起こらないし直しようがないので直していませんがこのステップには別解があります。例えばタブレットを♠のエリアに置いて【♠のエリアには入れない】を作ることでも突破できます。これはこれできれいな気もします。

真っ当な裏話をしすぎて作人の制作(の雑味部分)はjakeが暴走してるみたいになるのもあれなので最後にまだ残っていた脇道の話をしておきましょう。途中で出てくる無茶苦茶な星座占いはあらかた僕の仕業です。デザインを始める前に決まってたのは本物の占いにならないように黄道十三星座のへびつかい座を使うことと、とにかく運が良いということを伝えるということくらいです。ノイズにならないように気を付けないとという気持ちはありつつ、公演外のものを装った小物ってつい遊んでしまいがちです。

さて、熟読でもななめ読みでも飛ばし読みでも、ここまで見てくださった皆様本当にありがとうございます。これからも作人をどうぞよろしくお願いいたします。